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⑬ ネットワーク機器の提案から、納品までの流れ

ネットワーク機器を提案する時に、最初に行うことは、ユーザのネットワーク環境を把握することです。その次にユーザの課題や要件を確認します。そして複雑なネットワークをわかり易く説明するために必要なのが、ネットワーク構成図です。現状のネットワークと、今後導入するネットワークを比較して、機器の費用や、設定方法と設計工数などを検討します。

ある資料では、エンドユーザがネットワーク機器の選定で、最も重視することは、「価格」と、「自社のネットワークを知っている」そして「サポート」の3つが殆どを占めています。因みにベンダー担当の人柄はあまり気にされないようです。ネットワークシステムでは、技術力や提案力が求められています。

ネットワーク機器の提案から納品まで

営業は見込み客の発掘が主な仕事になります。ユーザのネットワーク機器のリースや保守終了のタイミングがネットワーク機器を提案するチャンスです。案件が発掘できれば、エンジニア同行で提案書(ネットワーク構成図が基本)を作成します。

① 提案書の作成
ユーザの要件を確認して、ネットワーク図で現状と導入後を作成することで、わかり易い提案書が作成できます。提案書ができれば、外注に委託することもできます。

 ・現状のネットワーク構成図作成
 ・要件と、ネットワークシステム計画書
 ・導入機器一覧表など

ネットワーク機器はメーカーにより、コンフィグやパラメーター、デフォルト値などの互換性がないため、メーカーを切り替えることは少なく、既設の機器を新しいモデルにするだけの場合が多いです。

但し、セキュリティー強化、冗長構成、コストダウンなどの要望から、ネットワーク機器を新しく検討することもあります。更に、ユーザがコストダウンを検討している場合は、通信キャリアを含めてシステムを一新することがあります。

② 見積書の作成と提出
最近では、クラウド化が進みネットワークシステムがシンプルになる傾向があります。また、通信キャリアの提案では、一時金を下げたルーターレスの提案が盛んになっています。通信キャリアは、ネットワーク機器の収益よも、毎月の収入がある通信サービスを中心に提案する傾向があります。価格勝負の傾向が強くなり、高機能なネットワーク機器を提案することが難しくなっています。

③ 設計と現地作業の工数算出
要件を確認して、設計工数や、現地導入の費用を算出する。主な設計と作業項目には、LAN側複数インターフェース(VLAN)、NAT設定、QoS、モバイルバックアップ、機器冗長構成、SE支援・現地作業などがある。

 ・機器の選定: サイジングによる選定
 ・条件の確認: 設置場所、導入作業の時間帯(平日・休日・時間外)
 ・保守の確認: 24時間365日・平日9-17時など

④ 受注と導入の準備
成約が決まれば、拠点の住所、連絡先や作業日時を確認して、稼働調整を行います。ネットワーク機器の設定シート(パラメーターシート)を作成します。

 ・ネットワーク機器の納期の手配と納期の確認(現地送付、ハンドキャリー)
 ・拠点情報(住所、現地の担当者の連絡先、入門証の有無など)
 ・作業員の稼働調整(作業員の空き時間の調整)
 ・現地への作業者情報(指名・携帯番号など)の提出
 ・ルーターの設定シート(パラメーターシート)の作成
 ・コンフィグの作成(必要に応じて事前検証を実施する)
 ・作業手順書の作成(結線、疎通確認や検収内容など)

⑤ 導入作業
現地にネットワーク機器を送付する場合は、当日見つからない等の思わぬトラブルが発生することがあるので注意しましょう。またデーターセンターでは、梱包廃棄物の処理をベンダーに持ち帰らせることがあるので確認しましょう。必要に応じて廃材の配送費用を見積ことが必要です。また、顧客の都合で作業が遅延した場合(例えば担当者に待たされる等)で追加費用が発生する場合もあるので、予め見積条件で延長に注意を明記します。

 ・結線作業
 ・コンフィグ投入
 ・疎通確認
 ・ネットワーク機器のログ取集

⑥ ドキュメントの提出
作業完了後に提出するドキュメントは、予め見積の条件に成果物を記載することで行き違いを防止します。最低でも保守管理用のパラメーターシートやコンフィグの管理の提供が必要です。

 ・完成図書や設計に関するドキュメント
 ・パラメーターシート
 ・コンフィグ

ネットワーク機器販売の各担当の責務範囲

余談ですが、初めてネットワーク機器を取り扱う方から、「ルーターの設定はLANケーブルでPCを接続GUIで設定するのですね?」と聞かれることがあります。IT関連の仕事をしている人でも、業務用のルーターと家庭用のルーターの違いがわからない人が多いようです。

コンソールケーブルをUSBに変換(ノートPC用)

業務用のルーターの設定では、PC側をコンソールケーブルをつなぎます。最近のノートPCは、コンソールのI/Fがないものが多いので、実際には、(左の写真)コンソールケーブルをUSBに変換して、ノートPCに接続するエンジニアが多いようです。

 

ネットワーク機器の提案から導入までの作業の殆どをエンジニア(または外注先のエンジニア)が 対応します。営業は引き合いを増やすことが主な仕事です。また、導入日(納期)にトラブルがあると、ユーザの営業日にネットワークが動かなくなったりするので、エンジニアの ストレスは甚大になります。営業は、エンジニアのストレスを緩和(ユーザ交渉・説明・フォローなど)することも役割にあります。