ネットワーク機器 営業のための ルーター、スイッチ入門!

ネットワーク機器を販売する営業には、機器のスペックや、機能の違いを説明する最低限度必要な知識を有することが求められます。しかし、カスタマーがネットワーク機器のベンダーを選定する基準は、自社のネットワークに対する理解があることが大きく影響するのです。

それに応えるために機器のスペックを紹介するのではなく、具体的にお客様の環境に対して「なぜ処理が早くないとダメなのか」「なぜその機能が必要なのか」などの根拠の説明ができることが重要になっています。

そのためには、営業がネットワーク機器の処理や役割を知ることが必要になります。今更聞けないルーターとスイッチの役割と仕事についてまとめてみました。

インターネットとルーター

ルーターの役割

ルーターを一言で言うなら
ルーターは、2つのネットワークを相互に接続する装置です。IPパケットのレベルで、通信データーを中継します。しかし「ルーター」は、単純でなく色々な仕事をこなすために、多彩な機能を備えています。

プロバイダー、企業、家庭の3カ所で利用
先ずは、インターネットサービスプロバイダーが使う「コア・ルーター」。のネットワークを相互に接続したり、他のプロバイダーのネットワークをつなぐためにつかわれています。大型で人の背丈ほどあり、価格は数千万円規模になります。

次は、企業の本社で使う「センター・ルーター」(PE: Provider Edge router)と、企業から見て端(エッジ)に置く「エッジ・ルーター」(CE: Customer Edge router)です。このクラスは、安いものから高いものまで、様々です。費用も数万円から数十万円程度です。

最後に家庭用のブロードバンドルーターです。用途を端末に絞ったエッジ・ルーターと言えるでしょう。

ルーターの仕事

ルーターの仕事は、大きく分けて「接続」「転送」「選別」「管理」の4つの処理が行われています。

① 「接続」さまざまな伝送方式のインターフェース・ユニットを追加したり、交換ができるようにします。具体的には、WANサービスではIP-VPNや広域イーサーネットのように接続インターフェースとして、イーサーネットと接続します。

また、トンネルの提供も大きな仕事です。企業間の通信で標準的なIPsecやPPPoEのようなトンネル技術が使われています。これもルーターがこなす「接続」の仕事です。昔はフレームリレーやATMに対応していました。ルーターは異なるネットワーク同士をつなぎます。

また、トンネルとは、パケットをカプセル化して送ることである。言い換えれば、公衆のネットワークを仮想的に独立した伝送路を作り出す技術です。例えば、IPsecを使うと、インターネットを介して仮想的な専用通信路が作れます。これをインターネットVPNと呼び、小規模なオフィスと本社をつなぐ用途で利用されています。

② 「転送」IPヘッダーを見てパケットを転送します。ルーターは、LANスイッチと異なりIPアドレス(レイヤー3)のヘッダーを見て、パケットの取り扱いを決めています。例えば、出力ポートのインターフェースに合ったフレームにIPパケットを載せ変えます。

具体的には、IPヘッダーの先アドレスを読み取り経路表を照合して経路を決定します。その転送先のインターフェースにつながるパケットを渡します。この一連の処理速度がルーターの能力になります。扱うネットワークの規模が大きくなると、経路の検索時間が長くなります。

更にイーサーネットから受け取ったIPパケットを別の伝送路技術の回線に送りだす時に、IPパケットをいったんMACフレームから取り出して送信先回線の伝送方式に合ったフレームを作り、そこにIPパケットを入れます。実は、相互に接続する回線が同じ方式でも、この処理を行っています。LANスイッチやHUBを通過する時は、このような処理は行われていません。

③ 「選別」パケットの選別をします。ルーターは、受け取ったパケットのヘッダー情報で、遮断(廃棄)をします。この機能をフィルターと言います。市販のルーターは、IPのヘッダー情報だけでなくTCPやUDPヘッダーの情を条件に設定することができます。また、アプリケーションレベルまでフィルターができる製品もあります。

そして、遅いWAN回線を有効に利用できるように、パケットごとに優先順位を付けて送り出すQoSと呼ばれる帯域制御の処理を行います。

④ 「管理」ルーターは使える経路を把握しています。ルーターの処理で特に大事なことは、ルーティング(経路)を決定することです。ルーターは経路表の作成や更新を自動化しています。他のルーターと通信して、お互いの経路情報を交換します。ルーターは、途中伝送路が不通になったら、そこを迂回する別のルートを使ったり、新しい経路が作られると切り替えたりすます。

経路を更新するプロトコルには、RIPや大規模ネットワークに向いているOSPFがあります。また、IP-VPNのWANではBGP-4が必要になります。

ルーターの役割